2025年2月11日

共感の弊害

年始の模様

 最近、ブックオフで定期的に文庫本を買っている。好きな芸人がポッドキャストで話していた「コンビニ人間」を年始に地元のブックオフでたまたま見つけて、買ってみたことが発端でした。

 「コンビニ人間」は文章が簡潔な上に作品自体も短く、非常に読みやすかった。内容も面白かったです。ポッドキャストの話で芥川賞受賞作品ということは知っていたのですが、そんな賞を獲る作品がこうも読みやすいということに対して小さくない驚きがありました。調べると芥川賞は新人の短編が対象らしい。

 それからブックオフで芥川賞受賞作品を探して買っています。(多くの人がそう考えるのと同じように)ぼくにとって読書の習慣化は豊かさに等しく、気軽に読めるおかげでそれが実現されるのはうれしいことだった。

 しかしただ芥川賞のウィキペディアとブックオフの在庫とを照らし合わせる作業になってもつまらないので、薄くて題名が良い感じという条件に当てはまる文庫本を手に取っては受賞作品かどうかを確かめて買っています。買う時点でそれなりの達成感と作品に対する少しの愛着が湧いている。

 最近はそうして見つけた作品を読んでいるのですが、その内にうれしくない発見もありました。その作品が読みやすいは読みやすいで、それらしい表現があると得意になっている作者が思い浮かび素直に素敵だと思えないということです。

 エッセイを読んでもこの現象は起こらないので、隠匿されるべき(だとぼくが思ってしまっている)作者の自意識が顔を出しているように感じることの違和感なのでしょう。それでもこの遊びを続けたいので読みます。これが豊かさなのかどうか、いまは分かりません。